共同研究

神田エリアの歴史資産とその評価

研究リーダー:
東京大学大学院人文社会系研究科 准教授 松田 陽

■研究テーマ

  本丸エリアの中心部に位置する神田エリアには、1877年に東京大学が設立され、その後も各種大学、専門学校、予備校などの教育機関が集積することで、人々が近代的な知を吸収するハブとして発展してきた。またそれが波及することで、出版・印刷業、医療施設やキリスト教団体が拠点を置き、新刊・古書店、飲食店、楽器店、スポーツ用品店などの建ち並ぶ街という、文化的で活気に満ちた個性が育まれて現在に至っている。

 もともと江戸時代の神田エリアは、西側の小川町や三崎町といった武家地や火除け地、やっちゃ場(青物市場)のある東側の神田の町人地という二つの地区であったが、明治期の15区設置(1878年)の際に神田区に編入されることで「神田」という共通のアイデンティティを持つに至った。これは戦後の千代田区への再編後も強力に残り、2018年には三崎町と猿楽町が再び「神田三崎町」「神田猿楽町」に町名変更したほどである。

本プロジェクトは、資料調査ならびに神田に所縁のある地元関係者等との対話を通じて、このような神田エリアの有形・無形の歴史資産の変遷と社会的価値を明らかにすることで、「本丸エリアのまちづくり」を通した社会的課題の解決・価値創造の場面において、そして創立150周年を迎える東京大学がその発祥の地との関係を新たに構築する上での参照点となるような成果の提供を目指す。

本プロジェクトの成果は、2027年4月に迎える東京大学創立150周年のプレイベント(シンポジウム開催および刊行物出版等)にて公表する。また、本プロジェクトのフィールドワークの一部は東京大学大学院人文社会系研究科が開講するゼミ活動として実施し、東京大学の教育活動への貢献とする。

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