総括寄付講座

「ARISE City 研究拠点」

研究リーダー:
東京大学総括プロジェクト機構 特任教授 横張 真

DXやスマートモビリティの進化・普及の一方、感染症の蔓延や気候変 動に伴う自然災害の多発、少子超高齢化等によりワークスタイル・ライフスタイルの急変によって、都市の機能や施設、土地利用は今後、大きく変貌を遂げることが予測されています。

本寄付講座はこうした情勢に対応すべく、 産学協創事業「MEC-UTokyo Lab」の一環として連携を図った文理融合的アプローチにより、今後のまちづくりのあり方を、 社会・環境の両側面から解明することを目的としています。

具体には、Agile, Redundant, Inductive, Seamless, Ecological を視座に据え、Artistic, Resilient, Inclusive, Smart, Emotional をコンセプトとした、都市の機能や施設、土地利用のあり方に関わる新たな理論や手法を提案することを目標とします。そのために、都市サービスのスマート化やGXによる社会の再構築等を含め、最終形としての目標像のみならず、そこに至るプロセスのあり方や土地の歴史性を考慮し解明していきます。

本丸エリアに関連する3つのテーマが課題とされています:
「課題1」スタートアップの成長を加速させるエコシステムの形成 ー本丸エリアを事例にー  
「課題2」空閑地の暫定利用・ネットワークとエリアマネジメントによる地域活性化 ー神田エリア事例にー 
「課題3」ストリートカルチャーの導入による新たなまちづくり ー大丸有エリアを事例にー


「課題1」

スタートアップの成長を加速させるエコシステムの形成 ー本丸エリアを事例にー 

東京の本丸地区(本郷~丸の内)において、スタートアップの成長を加速するためのイノベーション・エコシステムの形成に関する国際比較研究を実施します。特に学術界、ビジネス界、および非学術系スタートアップの間のギャップを埋める、「場所・人・プログラム」の3つの視点を持ったコネクターの解明を目指します。世界中の成功モデルを分析する一方で、東京に固有の機会と脅威を深く理解することにも力を入れます。地域のスタートアップ、アクセラレーター、インキュベーター、および投資家と連携することで、東京の独自の強みを活かし、その特有の課題に対応するためのオーダーメイドのアプローチを創出することが目指されています。我々の目標は、イノベーションを育み、スタートアップの成功をグローバルに推進するダイナミックな環境を作り出すことです。

(担当研究員:特任講師 山崎 嵩拓)


「課題2」

空閑地の暫定利用・ネットワークとエリアマネジメントによる地域活性化 ー神田エリアを事例にー

近年、居住・就労形態の変化に伴い、大都市の都心でも空洞化が進行し、中小空地が急増している。空洞化による経済・社会・環境への負の影響が懸念される一方、中小空地をオープンスペースとしてとらえ、エリア単位で的確な暫定利活用とネットワーク化を図ることができれば、社会・環境に正の影響をもたらしうる。本総括寄付講座では、中小空地を利活用することによる効果を総合的に解明するとともに、その手法を実現するための制度論について、産官学民の研究会により展望する。

(担当研究員:特任教授 横張 真)


「課題3」

ストリートカルチャーの導入による新たなまちづくり ー大丸有地区を事例にー

イノベーション・エコシステムを形成するうえで、多様性・包摂性の高いまちづくりは不可欠である。一方で、実際の都市空間には、仮にイノベーションを起こすことが目的に定められていたとしても、様々な禁止行為を表明する看板が設置され、特定の行為が排除される状況にある。例えば大丸有エリアでは、行幸通りや公共空間に「スケートボード禁止」などのストリートカルチャーに関する排除の動きが存在する。本寄付講座では、エリアの多様性・包摂性を高める方法論としてのストリートカルチャーの導入に着目し、社会実験を通じたその効果の定量的な評価を目指す。

(担当研究員:特任講師 山崎 嵩拓)

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