共同研究

「アート思考によるイノベーション理論の構築」に関する研究                                     Research on “Building a Theory of Innovation with Art-thinking”

研究リーダー:
東京大学大学院情報学環 教授 高木 聡一郎

昨今、芸術との関わりが、芸術以外の場面においても人間の創造性の向上に寄与することが期待されており、「アート思考」として注目を集めています。特に、ビジネスにおけるイノベーションや事業創造の場面において、アーティストの作品、創作過程、思考方法等を応用することで、これまでにない新たな製品やサービスの発想を得ることが期待されています。

三菱地所では、大手町・丸の内・有楽町エリア(以降、「大丸有」)において、公共空間へのアート作品の設置やアートに関するイベントの開催、三菱一号館美術館の開発・運営など、まちづくりの一環としてアートに取り組んで参りました。更には、NPO法人大丸有エリアマネジメント協会、一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会と共に有楽町アートアーバニズム実行委員会を組成し、2022年2月より有楽町アートアーバニズムYAU(以下、YAU)を立ち上げ、アーティストの創作活動の拠点となるスタジオ運営をはじめとして、まちがアートとともにイノベーティブな原動力を生み出すためのパイロットプログラムに取り組んでおり、ビジネスとアート領域の協業活動も推進しております。

一方で、芸術とのどのような関わりが、具体的にどのようにイノベーションやそれに必要なビジネスパーソンの創造性に影響を与えるかについては、必ずしも十分に研究・実証されてきたとは言えません。芸術にも様々なジャンルがあり、対象によっても効果が異なると考えられるほか、芸術に対しても鑑賞、参加、対話など様々な関わり方が考えられます。

本研究ではビジネスアイデアの創出プロセスにおいて、具体的にどのような芸術との、どのような関わりが影響を与えるのかを実証的に明らかにします。特に、デフレーミング(※)と呼ばれる理論と事業創造の手法を活用し、アートの要素を取り入れた場合の影響を観測・計測することで、アート思考によるイノベーションへの影響を明らかにすることに取り組みます。

※デフレーミング・・・事業分野、製品、組織等の既存の枠組みを越え、内部要素を柔軟に組み替えたり、カスタマイズすることでユーザーのニーズに応えること。これまでに日本語版の「デフレーミング戦略」(翔泳社)、英語版の「Deframing Strategy」(World Scientific)が発刊されています。

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